ドロイド進化論
ノックの音に、葛城は目を通していた書類をデスクに置いた。
眼鏡をくいと持ち上げてかけ直す。時計を見ると午後3時を指していた。
誰何するまでもなく、軽快なリズムにドアの向こうにいる人物が来栖だろうと見当がついた。
入室を許可する声を短く発すると、案の定ドアを静かに開けたのは来栖だった。
いつものように少し屈みながら入ってきたが、今日は手にトレイはない。
「何かしら」
少し残念に思っているのが気取られないよう、葛城は意識してゆっくりと言葉を紡いだ。
数年前には考えられないくらい、来栖に対しての態度が変わったと自分でも思う。
それは来栖が経験を積み、より人間らしくなったからかもしれない。
以前のような中途半端さは感じず、来栖はひどく人間くさくなった。なんでもそつなく受け答え、時たま反論もする。
以前と違い、喜怒哀楽の怒があるのも、葛城の感情を良い方向へと導いた。