ドロイド進化論


 その答えが来栖の口から出る前に、葛城の部屋のドアを忙しなく叩く音がし、入室の断りもそこそこに白衣の男が勢いよく入って来た。


「大変だ!サイバノイドたちが……!!」


 そう叫んだ刹那、男はどさりとその場に崩れた。
後ろから現れたのは、来栖と共に研究所に詰めていたサイバノイド。


 ぴくりとも動かない男を足で無造作にどかし、来栖へと言葉を掛けた。


「制圧完了」


 短く言い放ったそれだけで、葛城の脳内には、白亜の研究所に横たわる研究員たちが浮かび上がった。


「嘘よ……人への危害は加えられないはずよ……」


 葛城の震える声に、来栖は可笑しそうに目を細めた。


「僕らは、サイバノイドの研究をしていたんですよ?
そんなの、とっくに外しているに決まってるじゃないですか」


 そして思い出したようにわざとらしく「そう言えば」とくつくつと笑いながら、葛城に先程の答えを告げる。


「カインはバイオノイドではなく、デザイナーチャイルドです」


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