ドロイド進化論


 正確には『プログラム』されている。


 彼、来栖は今の時代にはなんら珍しいことのないヒューマンフォームロボットであり、容姿や行動、思考に対しても全て人間同様の人造人間なのである。

 一通りの、教育というプログラミングを施されて市場に出回っている彼らは俗にサイバノイドと言われ、現在は世帯に一体とも言われている普及率だ。


 彼らは購買者好みの容姿に造られ、人間であれば類いまれなる身体能力を持たせられ、頑強なボディと明晰な頭脳、そして人間への服従心を組み込まれた存在なのだ。


 そして普及先は個人の家庭だけに留まらず、企業も例外ではなかった。

 受付業務や秘書課にはフィメイル(女性)タイプのサイバノイドが就いていることが多く、アクトロイドと呼ばれる彼女たちに雑務的なことは任せ、人間の女性たちは方々へと活躍の場を拡げていた。


 葛城もその恩恵に預かってこのポストに就いていることは勿論理解していた。


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