ドロイド進化論
葛城は短く否定の意を表明し、来室の意図を問いかけた。
少し躊躇いを見せた来栖に、なんだか優柔不断な男を相手しているかのような錯覚を起こす。
人間臭さを感じさせるのが不快でたまらない。
それでもさっきのように訊かれるのが嫌で、今度こそ微塵も感じさせないように、葛城はそっと書類から視線を上げた。
度の合わない眼鏡越しでもわかる、整った容姿がそこにあった。
椅子に座りながらだと、小柄な葛城からは余程見上げなければならない高身長は、社内勤務の女性アンケートで決められたらしいと伝え聞く。
程よく引き締まった体躯は、サイバノイドたちを見慣れている葛城には、白衣の上からでもわかるものだった。
ふわりとした栗色の髪は、よく櫛削られたサラブレッドのよう。
黒目がちな瞳は穏やかで、すっと通った鼻筋と形のよい唇がいかにも美青年という雰囲気だ。
葛城にさらに促されてやっと、彼は口を開いた。