僕の道に

「……石倉はさ、サッカー好きか?」


余りにもふざけた質問に、俺はむせた。いや、真顔だからふざけてはないのか。


『そりゃあな。サッカーだけ、やってきたし。』

「そっか。」


珍しい。


『なんかあったのか?』


中森はまだ半分以上ある煙草を、地面に投げ付けグチャグチャに踏んだ。


「何もかも、壊したくなった。」


……………え?


「それだけ。」


いや……待ってよ。

理解出来ないって。


『おい……。』

「サッカー以上に大事な“もの”が出来た。けど俺には何も出来ない。」


もう喋る度に謎が生まれる。


「石倉もわかるよ。」

『そっそうかな?』

「ああ。けど暫くは、3番手に甘んじさせてもらう。」


……そこまでさせる“もの”ってなんなのだろうか?



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