大好き。
「えっと…じゃあ、優ちゃんはあいつの何を知りたい?」
「全部」
「全部って……あはは、優ちゃん大胆ー」
普通でしょうよ!
笑いすぎて目に涙を浮かべる大翔先輩を冷たい目で見る。
「じゃあ、うん。…全部ね」
大翔先輩はそう言うと、アイスコーヒーを一口飲んだ。
「…あいつには母親しかいなくて、父親には裏切られてんだよ。だから、自分はそうなりたくなくて必要以上に女に気を使うようになったんだ」
優ちゃんも飲みなよ、と促される。
「あはは、でもそれはただのマザコンかもな」
そう言って笑う先輩にイラッとする。
「彼女つくらない理由は、自分もいつか裏切るかもしれないから…怖いんだ」
男はみーんな悪い奴だからね、と笑う。
「ま、俺がそう信じ込ませただけなんだけどな?」
「……え、どういうことですか?」
「俺が言ったんだよ、男はみんなそうなんだって。お前もいつかそうなるって」
「何でそんな無責任なこと言うんですか…」
「あはは、あいつ単純で可愛いんだもん」
……あまりの理不尽な理由に呆れて声も出ない。
「だから…よかったら助けてあげてよ」
急に優しく言うから、意外といい人なのかも知れない…なんて。
それからはどうでもいい世間話や、水城の誕生日や血液型とかも教えてくれた。
……水城、めちゃくちゃ甘党らしい。
「先輩…何者?」
「ふふ、秘密」
そう言って、パチッとウインクする。
そんな先輩に、無意識のうちにため息をついた。