ヴァンパイアと人魚姫
俺が人魚と居るのに気づいて、さすがの父も驚いていた。

「人魚ではないか!」


「父上。この人魚どうします?」


俺がそう聞くと人魚はビクッと反応した。


「エレス。海に逃がしてあげなさい。人魚の血は濃すぎて我々には毒だから吸うこともできないしな…」


俺は、父に言われたとおりに人魚が入っている水槽を壊し、人魚を海へ連れて行った。


「ありがとうございます。」

海に入れると人魚がお礼を言ってきた。


「礼はいらないが、どうしてあんな所に居たんだ?」


「海賊に捕まって…」


「はっ!捕まえた奴に同情してたのかよ!お前アホだろ?」


そう言うと人魚は、少し怒った顔をした。


「そんなことありません!どんなに悪い人でも命を奪うなんて…」


「さっきも言ったけど、人間は餌でしかない。それだけだ。それよりお前名前なんて言うんだ?」


「サラです。」


「サラか。俺は、エレス覚えときな。いつかまた会うかもしれねえし…」


サラにそう言うと俺は、サラから離れ月のドアへと向かった。
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