新月の夜
が聞こえた。」
「…。」
「きっと何かある。予感がしたんだ。思い込みならば背負えばいい。」

絢美は、

「私はお兄ちゃんを信じてる。」

あつきも、

「オレも兄さんに付いていく。」

絢美は。

「それには、ママやパパを呼んで、合わせることも大切かも。私が生まれる前から会ってないのよね。」

亜希は、

「ああ。ものごころついてからは会っていない。サプライズの方が喜ぶかも。」

あつきは、

「お坊ちゃんの協力を借りないと。」
「名前で呼んであげようよ。」

絢美が言うと2人は、
「悠ちゃんだと変だろ。ちやほやされるのが嫌で隠してたのにお坊ちゃん全面に出したらかわいそう。」
「…。悠ちゃんに、うまく言えば納得するよ。不安ならばパパとママの為に会わせたいなら簡単だよ。…じゃあお兄ちゃんに力分けてあげる。」

ちゅっ。

絢美は亜希のほっぺにキス。亜希は、

「姫には勝てませんね。」


あつきの部屋。史奈と2人きり。

「何の話?」
「…ごめん、史奈まで巻き込んでしまった。」
「誰?」

あつきは机から写真を出し、

「この人だよ。」

悠太を指す。史奈は、

「え…この人、私の仲間たちの中ではタイプって一番人気だよ。」
「…本当にか?」
「だって整ったカオしてる。カッコカワイイよ。」
「…。」
「?…」
「キライなタイプではない。単純かなぁ。」
「CM見たよ。楽しそうな。」
「あれで正体がわかった。」
「?」
「言った時動揺してた理由。やっとわかったよ。来たのは、父親とお兄さん。」
「…え。」
「社長令息。それをうりにしてないけどね。」
「それとあつきのお母さんとのつながりは?」
「彼の母親が逃げてた先が地元で偶然出会った。母さんは赤ちゃんの頃のオレを抱いていたらしく、妊娠していたから引き込まれていった。」
「妊娠してたら何で?」
「わからないけど、一人でいたのは確か。迎えに来たから今がある。って史奈に暴かれてる。」

ちゅっ。

「あと、あいつ彼女いるから。豹変は彼女に対するもの。」
「え?」
「嫉妬深いんだよね。信じてあげてほしいよ。」
「え、彼女って?」

「内緒。」

ぎゅっ。

「そこまで言っておいて。
< 111 / 257 >

この作品をシェア

pagetop