新月の夜
ある。直したい。」


絢美と麻友美は、悠太の母親に、

「何か手伝う事ありますか?」

と尋ねる。母親は、

「大丈夫。ありがとう…。」

麻友美は母親の様子に気付き、

「体調悪いのですか?」

母親は、

「え?…何も。おかしいかしら?」
「…気のせいならすみません。」
「…そういえば…ねぇ。旦那呼んで来て頂けるかな?話がしたいの。」
「はい。」

麻友美と絢美は呼びに行く。
父親が来る。

「どうした?」
「…ナオキさん。私…生理来てないかもしれない。」
「ん?」
「…いや、来てない。もう1か月以上も。」

父親は母親を抱き寄せ、

「本当か!?」
「…どうしよう。もし男の子だったら死んで…。」

父親は、

「本当なら嬉しい。男の子でもいい。あさみの子供を私が守る。」
「…運命でしょ?」
「男の子とも限らない。」
「…そんな軽々しく。」
「あさみは嬉しくないのか?生まれくる子供は悪くない。」
「でも…。」

父は母に濃厚なキスをして、

「愛してる。」

母も、

「私も、16で出会った時のキモチと何も変わってないわ。」
「私は、あさみの子供を望む。もう離したくない。あの時みたいな苦痛は嫌だ。半年もあさみを探して毎日くたくたになって。でも会いたくて。守りたくて。」
「…ごめんなさい。」
「不安にさせた私も悪かった。息子達もよく成長してくれた。あさみには感謝してる。愛してる。」
「恥ずかしい。」
「何回でも言える。結婚してよかった。」


一方、亜希と悠太の兄は、亜希の両親を迎えに行く。

「私はあなたに感謝しています。母が穏やかでいられたのはあなたのおかげだと信じてます。母のお腹の中で、私とあなたは握手していたかも知れません。」

と悠太の兄が言うと、亜希は、

「私は、あなたの母親が好きでした。うっすら覚えてる記憶。好きな人が抱いているあなたを羨ましいのに好きで、かわいい。好きな人の子供。弟なんてそっちのけで。別れたくなくて、泣いてねだって。抱いてくれたら喜んで。でも離れたら泣きじゃくった。そして会えないまま、成長して、ここにいる。こういうかたちで再会できるなんて幸せです。」
「私こそ。気付かないうちに会っているとは…。今日は
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