新月の夜
、すると、数日前から新入社員がいる。

「おはようございます。」

年上のおじさん。兄は教育係になっている。理由。
ある日、悠太の兄が、

「坂井先輩…新入社員なのですが指導役、お願いしたいのです…。」
「え…。」
「…実はあの人に教えるのだけはできるだけ避けたい。」

連れてくる。


数日後、おじさんは、

「…子供が9人いて、前の会社クビになって、社長に頼み込んで入れてもらいました。」

打ち明ける。

「知り合いですか?」
「同級生です。事情も知っています。和也くんが私を避けたいのは当然でしょう。…うちにいらして下さい。妻と騒がしいですが5人の娘と4人の息子がいます。」
「…いいですよ。」「和也くんがあなたに頼んだのも何かの縁でしょう。」


「ただいま。」
「パパ〜おかえり。」

小さな女の子が来る。

「ただいま、えり。ママは?」
「ママぁ〜、パパとお客さんだよ。」
「お帰りなさい。ごめんなさい、遅くなって。」
「?」

麻友美の兄は何か違和感を覚える。

「会社の指導役の坂井さんだ。」
「夫がいつもお世話になってます。ごめんななさいね、49のおじさんでねぇ。若い方がよかったでしょう?」
「…まだ若いつもりだ。そっちこそ45で出産したくせに。」
「…それはあなたのせい。それに45で出産するのは私だけじゃないし。」
「…あいつも盛んか。ごめんなさい、入ってください。」
「…はぁ。」


居間、娘と息子は、

「ねぇ、パパ。ゆうにいはいつ来るの?」
「…忙しい人だ。」
「てか、ゆうにいと結婚したい☆」
「…さや、それは犯罪だ。」
「しいらも、ゆうにい大好き☆」
「くみも。」
「…はぁ。上4人はミーハーで困る。毎日これですよ。20の息子、19と18と16の娘は虜になって。」

息子は、だってかずにいは年が少し離れてるし、カタいもん。」
「……。」
「誰の事ですか?」

麻友美の兄が聞く。

「いとこのお兄さんですよ。…この人です。」

と悠太を指す。

「!?」

長男は、

「ゆうにいも誰か紹介してほしいね。みんなかわいいじゃん。」

女達は、

「でも、何かこの人好きになれない。ゆうにい誘ってそうじゃない?」
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