新月の夜
てくるなり、…知ってはいけない事また知ってしまった。と打ちひしがれてたの。」
「…伯父さまばらしたな。」
「…前に、私とお兄ちゃんが歩いていたら、お母さんと会ったの。お兄ちゃんの職業柄知ってるでしょ?」
「…ああ、旧姓ね。」
「お母さんを知ってるからついつい話してしまったの。お兄ちゃんのそれまでの認識はお父さんとお母さんは不倫してると。それが不意に夫婦とわかり、まさか、悠の両親なんだよ。それに伯父さんまで。」
「…話す準備しだした。もう隠し切れない。少しずつ母さんのお腹は大きくなる。まして噂が出ているなら大きくなれば父さんの子供だとわかるだろう。父さんも限界だ。本当は好きで好きでたまらない。」
「よくばれなかったですねぇ。」

亜希は言うと、

「父さんは指輪を外していましたし、ばれてた人に守られてたみたいだし。それに、母さんは傷付きながらも、家族がいるだけで幸せって、子供の頃は毎日のように抱かれた。」
「…あの人らしい。」

絢美は、

「お父さんの両親とは会わないの?」
「母方の祖父母には溺愛された。父方は…会わない訳ではない。祖母は、母さんを認めてる。疲れているのを気遣ってた。祖父からはやはり、母さんだけ最初からの偏見で虐げられている。オレらは、子供には罪はないと愛してくれた。やはり父親似の兄さんのが可愛がられた。それを知ってるからオレは祖父はあまり好きになれない。」
「……。」
「ごめん。絢ちゃんやマネージャーさん達まで巻き込んだ。複雑な理由で逃げて出会って、再会しても複雑で、あの日知った母親の妊娠。」

絢美は、

「知ってる?お母さんの体調の異変に気付いたのは麻友ちゃんだって。」
「え?」
「だって顔色悪かったよ。」
「ほらね☆だから、お母さんから気に入られてたりして。」
「…やめてよ。」
「母さんには嘘付けない…。関係ばれてる。」
「知られているのですね?」
「はい。あの日ばれた。」
「いじけて部屋にこもりましたからねぇ。助けに行きますよ。まさか襲ったとか?」
「……。」

麻友美は悠太の腕を掴み、

”言っちゃだめ”

と首を振る。悠太は、

「それに近い事かな?」
「な…何て事言うの!?」

亜希は笑って、

「何となく予想できてました。でも今は大切な時、ゴシッ
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