新月の夜

叶えて弟を助ける。そう言ってたじゃないか。恋に破れ、命を絶とうと自分の腕の肉を剥ごうとしていたのを抱きしめて、約束した。あんたの夢は弟の命。嘘なのか？約束のしるしがその耳のピアスがじゃないのか？中途半端な気持ち？弟がかわいそうだ！」
「え…あの弟くんが？」
「…。」
「だから路上で歌ってた。それに感銘を受けたオレは毎回聴きに行った…まあ、別の理由も…。弟を裏切るなよ！」

麻友美は、

「…ごめんなさい。祐貴がいるから頑張ってこれたのにね。待ってくれる祐貴がいるから。…弱い私。そんな私でも信頼してくれる。裏切るなんてできないよ…。」

ａｙａは、

「仲の良い兄弟ですね。羨ましいな。私は、兄とケンカばかり。…素直になれないの。ますます気に入った。あなたと仲間なりたい。あっ、ちょっと待ってて。」


電話。

「もしもし、牧野？…すぐに来てほしい。」

電話を切る。ａｙａは、

「マネージャー呼んだの。」

少しすると、マネージャーが入って来る。男の人。

「お呼びですか？」
「彼、牧野亜希、マネージャー。牧野、私、彼女と歌いたい。」

麻友美の肩を組む。マネージャーは、

「…また唐突な。すいません。うちのａｙａが我が儘を…。」

おろおろ。

「ダイヤの原石を見過ごすの？発掘するのも仕事。彼女達を会社にアピールするの。」
「本当にわがままですねぇ…。」
「お願い☆」
「…色じかけですか。通じませんよ。」

震える。

「私決めたもん。」
「あなたって人は…。」

麻友美達に。

「かわいいマネージャーです。わがまま言うのも仕事。多少困らせた方が。おカタイマネージャーを緩和させるの。」
「…帰りますよ。」
「は〜い☆」
「…すいません、また連絡を差し上げます。」

マネージャーに連れら。ａｙａは帰る。ａｙａはウインク。

「…行っちゃった。」
「…マネージャーさんも大変だ。嬉しいね。またみんなでいれるんだよ。」

と言う中、麻友美は思った、

「…きっと、あの人お兄さんね。だからウインクしたんだ。」
「何？」

悠太が聞くと、麻友美は、

「何でもない。」

と答える。


出口、帽子を目深に被ったａｙａは祐貴を見つける。