新月の夜

「…お兄ちゃん。何で私についてきたの?」
「ん?…あの時の感動かな。絢美が生まれたとき。涙が出てきた。その時、かわいい妹のためにいることが兄の役目だと思った。妹バカかもしれないけど、そう神様に告げられた気がした。兄さんやあつきには馬鹿にされたけど。兄ちゃんは、妹を守るために生まれてきたと思ってる。」
「お兄ちゃん、ありがとう。大好きだよ。」
「…ありがたき幸せ。」

亜希は絢美の腕にそっとキスをする。

「今日は優しいね。」

と亜希が言うと絢美は、

「気のせいだよ。」

と笑顔で言う。


−ありがとう。あなたのおかげよ。−


次の日、文化祭2日目、麻友美達は、仕事に追われる。
案内したり、誘導したり。

「…はぁ。」

しかし、

「は〜い、差し入れ!」

仲間たちが持ってくる差し入れにはうるうる。

「ん、おいちい☆」

それに、”昨日見たよ〜。””感動した。””最高。”とか言ってくれて、麻友美たちは、

「してよかったね☆」

麻友美達は大学部の男子たちには声を掛けられるし、悠太達は短大部の女子達にちやほや。ニタニタしている。
麻友美が悠太に、

「にやけてるんじゃないでしょうね〜。」

とこそこそ、

「誰かさん一筋ですから。あ〜あ。最近はご無沙汰。誰かさんからしてほしいな。」
「変態。」
「うそ。もう傷つけない。罪悪感あるんだぞ。女を泣かした。」
「…前に気付けれるでしょ。」
「おかげで気持ちを伝えられたし。なぜ毎回現れたかもはっきりしたろ?」
「…あのねぇ。まともに伝えられないわけ?」
「繊細ですから。」
「ひねくれてるだけ。」
「ごめん。」
「…はぐらかさないでよ。」
「じゃあキスしてほしい?」
「ばか…。」


打ち上げ(お酒はのめないので烏龍茶やジュース)

「みんなで続けられるかも☆」

みんな嬉しい。

「また練習しないと。」
「また喧嘩したりして。」
「いゃあ、キスしたりして。」
「…やめてよ。」
「平手打ちしたり、連れ出したり。何してたんだろうね。」
「…。」
「いいこと。」
「やっぱり…。」
「何調子乗ってるのよ!」


麻友美は電車の中、苛々。

「何てこと言うのよ!美里や沙
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