新月の夜
んを愛しています。ナオキさんしかいないです…これからも…死ぬまで…。私は…ナオキさんの血を継ぐ子供を産めて幸せです…。和也の兄弟も産みたい…ナオキさんの笑顔が見たい…ですから許して下さい…。」

父は、

「良かったよ。忘れないで欲しい。お前は義理の父親に抱かれた。わかってるな。」


父は去る。あさみはくたっとする。床には裂かれたあさみの服が散らばっている。

「ナオキさん…愛してる…愛してる。」

涙。

和也はあさみを見ている。


「なんて酷い…。」
「旦那さんには言えないわ…。私が抱かれたなんて。…子供達にも言えない。一人で抱え込んで、今まで来たわ。この一族は呪われてる。支えてあげて欲しいの。私は守り切れないかも知れない。お義父様の曾孫の代、そう、あのコ達の子供の代。良からぬ事がおこる気がする。彼女のお腹の赤ちゃんが大人になれば私らは老いる。助けてあげて。」
「…はい。あの…本当に社長は気付いてないのでしょうか?」
「…いくら鈍感な旦那さんでも何かがあったくらいは感じてたのかな?あの日は優しかった。」


「ただいま、」

ナオキが帰って来る。

「…お帰りなさい。」

和也を抱いたあさみが迎える。
キス。

「ん…。」

あさみに残る記憶。

「いやっ…!?」

あさみは震えている。

「あさみ?」
「ごめんなさい…おかしいなぁ、いつもと違う。」
「朝と服替えたね。」

あさみは動揺。

「あさみ?」
「……。」

あさみは和也をギュッと抱く。

「あさみ…かわいいよ。」
「…あのね、ご飯の用意出来てるの。」
「わかった…。」


ダイニングに向かう途中、ナオキはゴミ袋に詰められた服を見つける。

「……。」


ナオキは隙を見計らい、トイレに行くふりをしてゴミ袋を覗く。

「!?」

ビリビリに裂かれた服。

「…あさみ?」

ナオキは察知する。あさみは襲われた。悔しい。愛しい妻をボロボロにされたなんて。ナオキは落ち着けて戻る。

(オレがあさみを守る!)

あさみは涙を浮かべている。必死に隠そうとする。

「あさみ、買い物いこっか。」
「ん?」
「3人で行こう。」


百貨店。乳母車を引いている
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