新月の夜
手を離し、耐える。

「えらいぞ、奈央。」

兄は抱く。微笑ましい光景。和也は、

「先輩も座って下さい。立ってばかりでお疲れでしょう。大丈夫です。奈央が求めています。奈央にとって私は悠ちゃん程安らげるお兄ちゃんじゃないですから。機嫌が悪いと無愛想ですし。このカオがキライなのでしょう。母さんと悠ちゃんにはとびきり甘えて、私と父さんにはまぁ甘えたい時しか甘えない。羨ましいです。年の離れた妹は格別です。ほら、抱っこをせがんでます。」

兄は奈央を抱く。

「きゃっきゃっ。」

喜ぶ。

「妹をいじめないでね?」

奈央は幸せそうだ。そこへ、

「こんばんは。」

未亜と義人とその子供達が来る。

「悠兄ちゃんいる?」

未亜は、

「止めなさい。」

と注意する。

「だって裏切りじゃん。やっぱり誘われたんだよ。汚い。」

未亜は、

「場をわきまえなさい!」

あさみは、

「いいのよお姉ちゃん。上がって?」
「あさみ、はい、ケーキ。」
「ありがとう、お姉ちゃん。」
「それと、多岐が家に来てね、また行くからと言って、行くならケーキ買ってとお金渡してったから大奮発よ。パパが少し足腰が弱いからなかなか長居できないし、なにしろあさみがいないといけないでしょ?」
「……。」
「たいてい家庭にいる私には会いやすいみたい。」
「また行くわ。お兄ちゃんは元気だった?」
「元気よ。オッサンだけどね。子供とあのはきはきした嫁に振り回されて疲労してるみたい。」
「さくらちゃんはそんな…。」
「あさみとは仲良くてもさ。高校の同級生でしょ?」
「……。」

ナオキが来て。

「上がってから話しなさい。」
「あ、鈍感バカだ。」
「…それは余計だ。」
「ママぁ、赤ちゃんと会いたいよ。」

下4人が言う。

「行こうか。」

義人は言う。

「きゃあ、赤ちゃんかわいい☆」
「あ…。」

悠太大好き3人娘は麻友美の兄に気付いて、奈央に構ってるちびっこ達を気にしてソファーから立っていた麻友美の兄に詰め寄り、

「嘘つき!誘わないって言ってたじゃない!誘ってものにして、赤ちゃん作って、それは既成事実という醜い欲望。これでわかったでしょ!醜い!」

未亜は、

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