新月の夜
「止めなさい!」
義人は娘を殴る。
「お前らは人の幸せを喜べない愚か者だ!」
あさみは、
「誘惑したのは悠の方よ。好きで好きで、片思いな悠はちょっかいだして、嫌われてた彼女の最初を奪っちゃったの。彼女はキオクが無かったらしいけど。悠は誰からか触られた彼女に嫉妬して、抵抗してた彼女を無理矢理ものにした。」
兄は、
「何故それを知っているのです?」
「悠に聞いたわ。あれでも後悔してる。ちびちゃん達の教育には悪い表現だけどこのままじゃ彼女が可哀相。あのコは不器用だけどキモチはまっすぐしてる。ただただ彼女に赤ちゃんが出来ていたら…と不安だったみたい。無理矢理だったから。自分は嫌われてる最低な男。もし子供ができでもすれば彼女は苦しむ。一人抱えて、両親や兄弟にも言えず、そのまま時間が過ぎて、手術できなくなって…というかお腹に宿した命、そう簡単に消せないわ。好きでもない男の子供を産んで、世間からも冷たい目で見られる。それがノイローゼを招いて、子供にあたる。そんな最悪な結果に好きな女をしてしまうのを恐れてたみたい。聞いたのは付き合ってそれなりに経った頃、奈央を身ごもる前の事。」
「麻友は苦しんでたみたいです。弟が異変に気付いて、夜中に帰って来た麻友のそれまでになかった色気と潤んだ瞳と微かに残っていた匂い。男絡みだと察知したみたいです。そしてある日、部屋でぐったり眠っていた麻友、目には涙と、同じ匂い。寝言で叫んでいたみたいで。起きて、不安定なキモチで手を切ろうとして、弟が追求したら混乱したみたいです。キモチを落ち着かせて、優しく問い掛けてみたら、きれいな涙を流してたみたいです。芽生え始めていたキモチ、もう戻れないと知った麻友は次の日にキモチを確かめたらしいです。そして二人は付き合い始めました。働いていた私が到底気付くわけがなく、弟が見守っていました。」
和也は、
「二人はぎこちなかったですよ。悠ちゃんが愛し過ぎて彼女が困惑して。策略をかけたら見事に嫉妬されてね、すごい仕打ちしたみたい。悠ちゃんは子供でしたね。19でもまぁ幼い子のわがままみたいに。」
「そんなに前から付き合って…、」
ナオキが言うと。あさみは、
「まぁ惚れてた頃は面白かったわ。今考えるとあれは片思いだった頃ね。お風呂でのぼせて倒れるし、ベッドから落ちるし
義人は娘を殴る。
「お前らは人の幸せを喜べない愚か者だ!」
あさみは、
「誘惑したのは悠の方よ。好きで好きで、片思いな悠はちょっかいだして、嫌われてた彼女の最初を奪っちゃったの。彼女はキオクが無かったらしいけど。悠は誰からか触られた彼女に嫉妬して、抵抗してた彼女を無理矢理ものにした。」
兄は、
「何故それを知っているのです?」
「悠に聞いたわ。あれでも後悔してる。ちびちゃん達の教育には悪い表現だけどこのままじゃ彼女が可哀相。あのコは不器用だけどキモチはまっすぐしてる。ただただ彼女に赤ちゃんが出来ていたら…と不安だったみたい。無理矢理だったから。自分は嫌われてる最低な男。もし子供ができでもすれば彼女は苦しむ。一人抱えて、両親や兄弟にも言えず、そのまま時間が過ぎて、手術できなくなって…というかお腹に宿した命、そう簡単に消せないわ。好きでもない男の子供を産んで、世間からも冷たい目で見られる。それがノイローゼを招いて、子供にあたる。そんな最悪な結果に好きな女をしてしまうのを恐れてたみたい。聞いたのは付き合ってそれなりに経った頃、奈央を身ごもる前の事。」
「麻友は苦しんでたみたいです。弟が異変に気付いて、夜中に帰って来た麻友のそれまでになかった色気と潤んだ瞳と微かに残っていた匂い。男絡みだと察知したみたいです。そしてある日、部屋でぐったり眠っていた麻友、目には涙と、同じ匂い。寝言で叫んでいたみたいで。起きて、不安定なキモチで手を切ろうとして、弟が追求したら混乱したみたいです。キモチを落ち着かせて、優しく問い掛けてみたら、きれいな涙を流してたみたいです。芽生え始めていたキモチ、もう戻れないと知った麻友は次の日にキモチを確かめたらしいです。そして二人は付き合い始めました。働いていた私が到底気付くわけがなく、弟が見守っていました。」
和也は、
「二人はぎこちなかったですよ。悠ちゃんが愛し過ぎて彼女が困惑して。策略をかけたら見事に嫉妬されてね、すごい仕打ちしたみたい。悠ちゃんは子供でしたね。19でもまぁ幼い子のわがままみたいに。」
「そんなに前から付き合って…、」
ナオキが言うと。あさみは、
「まぁ惚れてた頃は面白かったわ。今考えるとあれは片思いだった頃ね。お風呂でのぼせて倒れるし、ベッドから落ちるし