新月の夜
、プロポーズより前だからしてから話したかったし。すぐに結婚しなかったのは立て続けはよくないと思ったから。そうしたらこんなに早く甥っ子が妊娠させるなんてね。嬉しいよ。」
「…伯父さん、ありがとう。」
「悠の相手が坂井さんの妹さんでよかった。話してると楽しい。」

あさみは麻友美に、

「悪阻来てるのなら無理しないでいいのよ。たまに苦しそうなカオをする。」
「…はい。」
「悠もまだまだね。気付いてあげないなんて。」
「……。」
「私が苦しんでいるせいで皆さんに迷惑かけでもしたら…。」

父は、

「そうさせたのは悠太だ。悪くない。」
「…私も責任あります…う…。」
「これはね、同意があっても大半は男のしたことなのだよ。男がいなければできない。わかるよ。させた男の責任。目の前から消える苦痛を味わった。不安げにしてても父親だと自覚していたし、結婚するならこの人としかいないと思っていた。ただ、子供が宿った時、真実に耐えられるか不安だった。聞いていたでしょう?和也のチョーカーの理由。あの事が自分に、子供におこると思うと耐えれるだろうか?女性は知った瞬間から母になると言うけど、男も聞いた時、きちんと父親の自覚をする。動揺したとはいえ、子供だ。そこの男に聞いたら、出会うまで女性を考えなかった事はわかりますよ。だから、迷惑なんて考えなくていいよ。」
「ありがとうございます。」

悠太と麻友美はその日は別れる。
別れ際には甘いキスと抱擁。
兄の車に戻ると、兄は麻友美の髪を撫でる。

「お兄ちゃん?」
「触れる時に触らないと嫉妬されるだろ?」
「大丈夫だよ。お兄ちゃんには嫉妬しない。」
「冗談、麻友は人妻になるんだぞ。」
「人妻なんてやらしいよ…。」
「ははは。」
「もう…やだぁ、お兄ちゃんったら。」

麻友美はクスクス笑う。

「胎教にはいいだろ?笑うのは。…きっとだけど。」
「お兄ちゃん、ありがとう。兄は笑う。」


家に着く。弟が車の音を聞き付け、出迎えにくる。

「おかえり。」

弟は優しく微笑んで、麻友美を抱っこする。

「ただいま。」

麻友美は微笑む。兄は、

「こら!大事な時期に…。」

祐貴は、

「抱きたくなったから。兄さんこそ羨ましいんだ。」
「……。」
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