新月の夜
奈央は麻友美になついている。(悠太に褒められたいし、麻友美の兄が様子を見に来るのが嬉しい)
奈央は歩き回っている。歩けるようになったのが嬉しいらしい。身重な麻友美は、

「奈央ちゃん、待って…う…重たい…。」

奈央は麻友美の所へ来て、にこっと笑う。お腹なでなで。

「撫でてくれるの?」

奈央はこくりと頷く。

「か、かわいい…。」

そこへ、

「ま〜ゆ。」

兄だ。奈央は兄に抱っこをせがむ。

「奈央様。」

麻友美は、

「奈央ちゃん相変わらずお兄ちゃん好きね。」
「そうかなぁ…。」
「好きだよ、乙女になっちゃう。ふふふ。」

兄は麻友美の髪を撫でて、

「病院には行ってる?」

麻友美はにこにこして、

「先日行ったらあと1か月半くらいだろうって。順調に育っていて、元気だって。」
「そうか。どうだ?生活は。」
「二人で暮らし始めて、毎日楽しいよ。もう、悠ったら既に親バカで、はやとちりしてよく赤ちゃん用品を買っちゃって。お義母さんがおさがり持ってくるって言っていたのに。悠の赤ちゃんの頃の服もきちんと保存してあって、本当に憧れの女性だよ。何かあるといけないからここで奈央ちゃんを見ててと気遣って頂いて。」
「奥さんはすごいですよ。優しくて。」
「ねぇお兄ちゃん、…パパとママは何か言ってる?」
「もうすぐだって。産まれたらベロンベロンになるぞ、毎日話してるから。」
「そういうお兄ちゃんこそ…。」
「ベロンベロンだよ。祐貴もね。母さんが祐貴の彼女の事を気にしてるみたいだったけどどうなってるんだ?」
「ラブラブだよ。キスしたり甘えたり。いい感じだよ。祐貴に迷いが消えたみたい。」
「…そうか。」
「聞かないの?」
「聞けないだろ?…踏み込んではいけない空間。知ってるから。」
「いいんだよ。聞いてあげて?そのかわり、小さな声でね。内緒の関係だよ。」
「…エッチしたのか?」
「してないよ。してると思う?」
「…抱いてるのかな?と。」
「一緒にいるときはたいてい別室に私かお兄さんらがいるよ。怪しまれないように。でも今は同じマンションだから祐貴が来たって何らおかしくないし楽になったね。その時はその時でお兄さんが気を遣うんじゃない?優しい人だし。」
「麻友の旦那より?」
「較べる
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