新月の夜
言うと、

「恋人ってそうよ。会えるだけで嬉しい。二人の世界に入ったら大胆になれる。悠もそうだったじゃない?」
「…確かに。会うだけでキスしたくなる。」
「…それだけじゃなかったくせに。その分祐貴はどれだけ理性を保ってる?」
「……。」

絢美は何度も祐貴に甘いキスをする。

「絢…?」

ちゅっ、ちゅう〜。

亜希が、

「絢美、誰だったんだ…(気付いて)あ…。絢美、上がってもらいなさい。」
「お兄…ちゃん。」
「いいから。」
「…はい。」


居間へ。三人は入る。
絢美の両親を知っている麻友美と悠太は、

「あ…、おはようございます。」

二人は挨拶。絢美の母親は、

「あら、あさみちゃんの息子さん。」
「おはようございます。」
「お母さんは元気?」
「はい。妹が生まれてからというもの、まだまだ二人仲良くしています。最近は、孫が産まれる事を心待ちにして、乳母車、産着、お宮参り、お食い初めなど、それに父親の会社もあるのでとにかく動き回っています。動くの好きな母ですから。」
「あさみちゃんらしいわ。あとどれくらいで産まれる予定なの?」
「半月くらいでしょうか?」
「もうすぐね。あさみちゃんが楽しみにしている姿が目に浮かぶわ。」
「…奈央をすぐにおばさんにしてどうするの!…だと思うんですけど…。」
「あさみちゃんも覚悟していたのじゃないかな?拒まない人。幸せそうでよかった。」

麻友美は、固まっている祐貴に気付き、優しく寄り添って、

「大丈夫よ。祐貴は男でしょ?男なら誰でも乗り越える事。女の子はねぇ、言って欲しいの。お姉ちゃんが見てるから。ね?」
「……。」

祐貴は、勇気を振り絞って、

「あ、あの…。」

あつきと史奈は、

「おおっ!?」

と見合う。亜希は優しく見守っている。悠太は止まる。
祐貴は絢美の両親に向かって土下座して、

「あの…絢美さんと結婚を前提にお付き合いしています坂井祐貴とも、申します…どうか…お付き合いを許してください!!」

絢美は、

「祐ちゃん…。」

悠太はニヤリ。
絢美の両親はびっくりするが、父は、

「頭を上げなさい。君が絢美の彼氏だね。」

麻友美は優しく祐貴の髪を撫で、

「よくやったわ。」
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