新月の夜
助けてもらった身。従う。


外、男は座っている。

「はぁ…はぁ…何て無防備なんだ。迷惑。厄介。チビのくせに…かわいい!オレは男なんだ。守りたいんだ。いつもチビのあいつに欲情してんだよ。…バカ。あいつの前じゃ弱くなれるか?本心だせるか…オレってバカだ。」

男の本当のキモチ。
麻友美が出てくる。

「はい、傘。」

男は刺す。

「入れ。」
「…。」
「寄れよ。」
「!?」

男は麻友美を覆う。

「だから透けてんだよ。人に出会うと欲情されるだろ。」
「…そういってあなた襲うんじゃ…。」
「自分を見ろ。」
「…。」


ホテル。
服を乾燥させるために入るしかなかった。

「見ないでよ。」
「子供の体見るか!すぐにタオル巻け。」
「胸あるもん…。」

タオルを巻く。

「いいか?」
「…うん。」
「乾燥機入れろよ。」


消毒。

「いでっ!もっと優しくしろ。いでで…。」
「おとなしくしてよ。タオルはだけるじゃない。」、
「…わかったよ。」

男はドキドキを隠してる。

「チビ、ありがとう。」
「チビはやめて、名前あるのよ。」
「何?」
「坂井麻友美。」
「…チビにしてはいい名前。フロ入るわ。髪埃っぽいし。」

麻友美は。

「流すわ。…あなたにお礼したい。」

お風呂の中。

「見ないでよ。」

念を押す。

「チビに手を出す程飢えてない。」
「…名前で呼んで。」
「呼べるか、チビ!」
「殴るわよ。」

麻友美は片方ピアスがないのに気付く。

「…弟のピアスがない…。」
「は?」
「弟が選んだ三日月のピアス。」
「ブラコン?」
「違う。弟は、1年前、女に振られ、死のうとした。やめて!と抱きしめて。猶予を頂戴。私の夢が叶わなければ好きにしていい。私はあなたの命になる。だからそんな事しないでと…。弟は私の、路上ライブを喜んでる。姉ちゃんの希望は僕の命。おひねりでピアスを買うことに決めた。弟と行ったわ。弟と私の命を繋ぎ合わせるもの。一つ欠けでもしたらいけない。…なのに。」
「…オレ拾ったんだ。」
「本当?」
「…よかったぁ。」

麻友美が男の背中をゴシゴシしてると、男は、

「…あいつらに何された?」
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