新月の夜
「去年の伝説らしいね。拍手喝采って。即席の、文化祭のためのバンド。なのにすごく魅了して、感動したとか。話題だよ。知ってた?」

祐貴は、

「去年見たよ。すごかった。」

兄は、

「それってま…。」

祐貴は

「し〜!」

口封じ。

「喋ったら殺される。」
「…ごめんごめん。」
「?」
「何でもないよ。」
「いいよなぁ。祐貴の姉ちゃん見てるんだぞ。どんなのだったのかな?」
「…。」


絢美は歌っている。しみじみ、のりのり、トーク。

「今年は、いろいろありました。勘違いされたり。失礼ね。どう見たってそっくりよ!なんてね。信頼って大切。みんな兄弟仲いい?私は末っ子だからすごく甘えん坊。…3人の兄が呆れるくらい。でも、お互い信頼している。次の曲は送られた曲。゛ありがとう。゛」

歌う。それは兄から見た妹への目線。そう、それは亜希が書いた曲。亜希はびっくり。

「…いつ見つけた?あの日記…。」

麻友美の兄は。

「…兄から見た妹へのメッセージ?…そうか。あなたにパートナーができても私は咎めない。それがあなたの運命。運命に逆らおうとしたら。あなたが悲しむだけ。アイビリーブ。そう思える。だから、ありがとう。これからも…。」

麻友美の兄は涙。


その頃麻友美は2階でこっそり覗いていた。

「…!?」

麻友美の兄弟の横には悠太の兄。

「…お兄ちゃんのばか…。」

麻友美はムッとする。

「なになになに?」

悠太が言う。

「あれ見てよ。」
「あ…。大丈夫。もう平気だから。」

ぎゅっ。

悠太は麻友美を抱き寄せる。

「…。」
「それよりいつ言われていいようにしないと。」

ちゅっ☆

「…もう。」

すると。

「いちゃつくのは人のいないのを確認して下さいね。」

亜希だ。

「…。」
「絢美がそろそろ切り出すかもしれないから降りて来て下さい。妹、気まぐれですから。」
「…はい。」
「気付いてますよ。そこの彼から聞きました。相談なんて嬉しいです。弟みたい。本人は君みたいに優しくないけど。デビューしたら、スキャンダルには気を付けないと。報道は怖いですよ。でも、否定はしませんよ。運命には逆らえませんから。好きなら
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