新月の夜
。」

みんな挨拶。兄は、

「せっかく家の前で待っていましたのに。」

にこっ。

「ここが悠の家!?」
「…だから話したくないんだ。普通の家だし。」
「普通が1番だよ。」

麻友美は言う。

「麻友が言うのならいい。それでは、今日はありがとうございました。」

次は麻友美と祐貴。亜希は、

「みんないい人達だね。だから優しくなるし、穏やかになれる。」
「お兄ちゃん?」

麻友美は、

「今日はありがとうございました。また、呼んでね。絢ちゃん。お兄さん。祐貴、」

ぎゅっ。

「今日は楽しかったね。」
「うん☆ありがとうございました。僕もいいのかなぁ。と思いましたけど温かく迎えて頂いて嬉しかったです。」

亜希は、

「いいですよ。やはり、兄弟はいいですねぇ。私も弟がいますから。地元に帰ったみたいで充実しましたよ。ね、絢美。」
「うん。みんなでわいわいするのはいいこと。私達、似ているね。私も、お兄ちゃんに抱き着けるし。まゆたん達見ていると。間違ってなかったんだと思える。幸せだよ。」


麻友美と祐貴も別れる。絢美と亜希は二人きり。絢美は、亜希に、

「お兄ちゃん…?」
「ん?」
「…あの時の女の人。」
「?」
「私が小学生の頃一度だけ会ったきれいな人…。」

亜希はピンときて、

「聞いていたのか?」

絢美は、

「ごめんなさい。少しだけ。驚いて離れたけど。あれはお兄ちゃんの…。」
「桐谷万里…愛した彼女だよ。結婚も誓った。」
「何で!そんなに好きなら何で置いてくるの!」
「…愛したくても愛せないさ。絢美、万里は何て言ってたか覚えてる?」
「…病気。」
「そう。もうこの世にはいない。絢美に会ったその日、万里は息を引き取った。絢美は万里が最後に会った人。」
「…え。」
「最後は絢美にどうしても会いたかったのじゃないかな。よく言ってた。絢美に会いたいって。目に入れても痛くない位かわいい妹を見てみたいって。」
「…お兄ちゃん何で彼女いるのに私の事言うのよ。キスしてるんでしょ。」
「…してないよ、万里はそれでも幸せと言ってくれた。そんな私を愛してくれた。」
「…。」
「こうなるのならキスが何て恋しかっただろう。万里の最後の手紙に、キスのおねだりがあっ
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