新月の夜
た。普段求めなかったのに。キスしなくてごめんと謝りたくて。万里はキスを知らずに死んでしまった。あれほどのいい女。いないよ。絢美のそばに万里がいるような気がする。絢美に会う前から万里は見たことのない絢美を愛していた。」
「…そんな。絢美とは年が離れているからな。万里との関係、あつきには薄々感づかれていたよ。あいつの前では何もないように見せるけどばれてただろう。」


ベンチに座った亜希と万里。

「ねぇ、あ〜ちゃん。抱っこして?」

見つめる。亜希は、

「いいよ。」

と答えて、万里を膝に乗せて、覆う。万里は、

「温かい…。」

と言う。

「万里?」
「あ〜ちゃん大好きだよ。」

亜希は、

「万里。大好きだ。これからもずっとずっと一緒だ。」

万里は目をつむって、

「ずっと一緒にいてね。ね?」

万里は亜希の方を向いて、額と額を合わす。

「…万里!?」
「キスすると思った?おあずけ。妹ちゃんに悪いもん。」


亜希は帰る。

「絢美、ただいま☆」
「おかえりお兄ちゃん。」
「ごめん。今日は行けなかったね。明日は待ち合わせな。」
「うん☆」


亜希が部屋にいると、

「兄〜さん。」

あつきだ。

「何だ、あつき。」
「兄さん、彼女欲しいなぁ〜。」
「は?」
「もう年頃じゃん。かわいい女の子といちゃいちゃしたいなって。」
「…はぁ。」
「兄さんはいるの?キスした?エッチした?」
「…あのなぁ。くだらない話しなら出ていってくれないか。」
「そっか。絢美命だもんね。」
「…まあな。」
「じゃあ2年生狙おうかなぁ。」
「軽い!」


「あれ?亜希兄さん急いで出て行ったけど何?」

あつきは母に聞く、母は、

「学校から電話あって…何かしら。」


夕方、亜希は帰って来る。顔は青い。

「お兄ちゃんお帰りなさい☆」

無垢な絢美は来る。

「絢美…。」

亜希は部屋に。ぐったり…。

「お兄ちゃん?」

絢美は入ってくる。

「絢美…そっとしてくれないかな。」
「?」

絢美は出ていく。

「あつきお兄ちゃん。」

絢美だ。あつきは、

「どうした、あ〜や?」
「…亜希お兄ちゃんが
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