新月の夜
す。」

あつきは去る。

「何なのよ、あの1年。」

女子生徒はふと気付く。

「あれ?さっきの…確か名札…牧野あつきって…まさか弟!?確かに似てるし。何で気付かなかったの!」


亜希は次の休み時間女子生徒に、

「牧野君、話があるんだ。」
「何?伊藤さん。」
「…牧野君って弟いる?」

亜希は、

「いるよ。1年だけどこれがまた生意気で女ったらし。どこで間違えたか。しかも、僕の名前に一つ足した名前。母親からは、ひらがなだろ。って言い訳だし。亜希とあつきってどう見たって見分けつかないだろ。」
「…(やっぱり)。」
「何でそんな事聞くんだ?」
「…そっくりな1年生見たの。」
「多分弟だな。2年生狙おうって。あいつばかだ。伊藤さん気をつけた方がいいよ。」
「ありがとう…。」


放課後、亜希と万里は二人きり。

「ねぇ。詩織と何話してたの?」
「ん?…あぁ、伊藤さんか。弟の話。」
「弟?」
「いやな、弟らしい人見たって言ってた。弟が1年生にいるって言ったよな。顔はそっくりだし。万里も気をつけた方がいい。」
「何で?」
「女ったらしだから。」

万里は、

「大丈夫。私はあ〜ちゃんのものだよ。それにあ〜ちゃんの弟くんだもの。女ったらしの訳ない。あ〜ちゃんは女ったらし?」
「違う、万里だけだ。」

ぎゅっ。

「でしょ?あ〜ちゃんに似て一途だよ。」

亜希は笑って、

「そうだな。」

「…そんな。亜希の彼女なんて。」

母は言うと。あつきは、

「絶対に内緒だよ。」
「わかった。」


一方、亜希はお揃いで買ったくまのストラップと、万里の手紙と、万里の写真を見ていた。

「…万里。」

涙。

コンコン!

ノック、
亜希は涙を拭い、手紙などを隠して、

「誰?」
「兄さん、あつきだよ。」
「…一人にさせてくれないか。食事なら食べる気になれない。」
「兄さん、入るよ。」

あつきは入ってくる。

「!?」

あつきは亜希を抱きしめて、

「感情は出していいんだよ。」
「…あつき?」
「泣きたいなら泣けばいい。あ〜やが寂しそうだった。」
「…。」
「あ〜やは兄さんを欲している。あ〜やは兄さんの何?僕は天使だ
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