新月の夜
あさみはナオキに会いに行く。

「あさみ?」
「…赤ちゃんできたみたいなの。」
「え…。」

ナオキに不安。

「悪阻がひどいの。」
「…嬉しいよ。」

複雑。あさみはナオキのカオを見逃さなかった。


”いらないの?産みたい。”


あさみは家へ帰ると、荷物をまとめ、家を出る。授かったナオキの子供。
次の日、ナオキは仕事中に訪問者。

「…美亜。」

美亜は、

「あさみを返して。返しなさい!!」
「え…。」
「かくまっているでしょ!」
「何が?」
「とぼけないで!あさみがいないの。あなたね!!」
「…あさみがいないのか?」
「これを置いてね!」

ナオキは見る。


”探さないで。私は元気でいるから。どうか探さないで。
あさみ”


「!?」
「あさみに何したの!もう我慢できない!!」

美亜はナオキを殴る。

「あなたにあさみを愛する資格なんてない!!」

美亜は、

「もう会わないわ。最低な男ね!!」

吐き捨て、いなくなる。残されたナオキ。

「あさみ…オレの赤ちゃん!?オレは大切な人を一度に失うのか!?くそっ!!」

あさみを探す。

「あさみ…あぁ、なんて事だ。呪いなんて関係ない!探して、結婚する!!」


その頃、あさみは、

「どうか働かせて下さい!」

必至。

「日雇いでよろしいのでどうか…。」
「…あなたいくつ?」
「…20です。」

ごまかす。何とか承諾もらい、安堵の表情を浮かべたが、

「うっ!?」

悪阻。

「…お手洗いどちらですか?」

案内されて走る。
洗面所、血を吐く。お腹をさする。

「…ごめんね。」

母の顔。

「…妊婦さんね。」

気付かれる。

「…。」
「相手は?」
「…。」

話せない。

「相手はいくつ?」
「…。」
「子供なのね。」
「…24です。」
「守ってもらわないの?」
「…!?」

何度も吐く。
あさみは落ち着く。

「あなたいくつ?」
「…20です。」
「うそでしょ?」
「…19です。」
「子供ね。」
「どうか…私はどうなってもいい。赤ちゃんだけは!?」
「ひどい男ね。24なのに19の
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