新月の夜
子供妊娠させて。無理矢理セックスしたみたい。」
「…違います!私がわがままだから。」
「…無理しないでね。」
「はい…。」


あさみは夜も仕事をする。赤ちゃんの為。年を偽る。おじさんらが来る。お尻や胸を触られる。

(いや…。)

ナオキの顔が浮かぶ。

(…赤ちゃんを守るために頑張るの。)

お酒を勧められても、弱いからとごまかす。それがまた純粋で色気がある。
トイレ、吐く。

「…ごめんね。パパじゃなくて。…もう会えないの。」

お持ち帰り。あさみは、

「…。」
「恋人じゃないとダメ?」
「…。」
「恋人になろうか。」

口説き文句。

「…。(ナオキさん…助けて!?)」
「慣れてからでいいよ。いきなりはムリだね。慣れればセックスだってできる。」
「…。」


「キャバ嬢?母さんが?」
「…。」
「でも妊娠してたらばれる…。」
「すぐにばれたわ。悪阻ひどいのだもの、隠しきれないよ。」
「…父さん何してるんだよ!」


「お腹に子供いるのね。」
「…。」

あさみは黙る。やはり相手を聞かれる。あさみは、

「何でもします。」
「あなたのような妊婦さんがいるような場所じゃない。」
「どうか…。」

くらっ。

倒れる。


”ナオキさん…やっぱり赤ちゃんムリなのかなぁ。”


「あさみ…あさみ!どこにいるんだ!?」

ナオキは暇さえあればあさみを探す。人に尋ねてもわからない。

「この女性知りませんか?」

「…あさみ。」

追い撃ちをかけられるように、何も知らない両親から縁談が。

「…今はそんな気分ではない。」
「直樹も24よ。そろそろお嫁さんと孫が見たいわ。」


”…オレの嫁はあさみだけだ。俺は赤ちゃんの父親だ!?”


「お兄様…、」

妹が来る。

「遊佐か…。ごめんなさい、見てしまったの。お兄様が女の人を探しているの。」
「…あぁ。」
「机の中見たわ。かわいい女のコ。まだ若いね。」
「…19だ。」
「やっぱり未成年…。」
「いなくなった。いくら探してもいないんだ!」
「お兄様の彼女?」
「…彼女、妊娠してる。」
「え?」
「オレの子供だ。あの時抱いていたら彼女はいなくならなかっ
< 86 / 257 >

この作品をシェア

pagetop