普通の恋人
「あぁ、あなたこの携帯の持ち主?
昨日ファーストフードにいた女の子でしょ?
ごめんね。気付いた時にはあなたいなくなってたし、
お店も混んでて店員さんに言いたくても言えなくてね、
持って帰っちゃったの。
今日にでも交番に届けようと思ってたんだけど
その前に電話来ちゃった。」
女の人は一気に喋り立てた。
「あの・・・」
「わかってる、ちゃんと返すわよ。
そうねぇ・・・でもこれからリハーサルで出られないのよね。
場所教えるから取りに来れる?」
私はしばらく考えて「はい。」とだけ答えた。