普通の恋人

ペンキが所々はげた木の扉を開けると、

中は薄暗かった。

きっとお酒を出すお店なんだと思う。

でも今はまだ夕方の4時で、

お店は開店前のようだった。



「誰?まだ始まらないよ。」

突然薄闇の中から声がした。

よく見ると、入ってすぐの所に小さなレジがあって、

そこに男の人が立っていた。



細くて背の高い男の人だった。

着ている服が上も下も黒だったから

まるで暗闇に溶け込んだ人のようだった。

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