普通の恋人
「あの、私・・・。」
小さな声で言うと、
「わかった。あんた香のお客さんだ?
携帯取りに来た子でしょ?聞いてるよ。」
話が通っていたみたいで少し安心した。
「奥に入って。でもこれからリハ始まるから
ちょっと待つ事になるかもしれないけど。」
言われるがまま店の奥へと私は入っていった。
ずっと薄暗い道を通ると
奥には小ぢんまりとした空間が広がっていた。
そこにはささやかな舞台と、
舞台の向かいには20脚くらいの椅子が
所狭しと置かれていた。
ここはライブハウスのようだった。