あなたへ
私はハッとして


後ろを振り返った。


声の主は今噂の荒木大河だった。


なんでコイツがいるんだ??



大河が口角をキュッと上げて笑った。



「一人で昼飯?なら俺も混ぜろよ。」



どうやら後をつけてきたみたいだ。



私はピッキングしたのをたれ込まれても面倒だから



しかたなく二人で食べることにした。



先に大河が屋上にでる。



次に私が出る。



なんとも言えない心地よい風が吹いていた。



私はフェンスによりかかり


母の気合いの入った弁当を広げる。


母が友達にみせても恥ずかしくないようにと、作った弁当。




友達なんていないのに


その目の前に大河が座って来てパンを3つ置いた。



昼飯パンとかかわいそう。


もぐもぐと食べ始める。




...気まずい。



取りあえず質問してみた。


「ウチをつけてきたの??」



「シンちゃん俺のことずっとみてただろ。


だから何となくつけてきた。」



「ふーん。でも…その、友達とかいいの?」



大河なら友達沢山いるから食べる相手なんて



いくらでもいるだろう。



しかも、私一人でのほうが楽なんですけど。
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