足音さえ消えてゆく
夕食の席で、恵美がとんでもない事を言い出した。
「カナって、子供だ子供だって思っていたのに、もう大人なんだねぇ」
今思えば、この時に恵美の発言を止めるべきだったのだと思う。しかし、今日は小浜の天然にもやられっぱなしだったためか、その発言をスルーしてしまった。
「え?それなんのこと?」
箸を持つ手を止めて母が恵美を見る。
恵美が私のほうをなぜかマリア様のような慈悲にみちた目をしているのを見て、頭の中に危険信号が点滅した。
「あ・・・」
と言いかけたが遅い。
「今日ね、夕方カナったら男の人に送ってもらってたのよね。私、見ちゃった」
ガシャンと音がし、そちらを見た私の目に映ったのは、父が今にも卒倒しそうな顔で湯のみを落としたところだった。
これはマズイ!
そんなことはお構いなしに、恵美は続ける。
「あの人って大学生?結構いい男だったよね。ゴミを捨てる時に裏口から見たんだけど、身長も高いし、優しそうだった。やるじゃん、カナ」
「カナって、子供だ子供だって思っていたのに、もう大人なんだねぇ」
今思えば、この時に恵美の発言を止めるべきだったのだと思う。しかし、今日は小浜の天然にもやられっぱなしだったためか、その発言をスルーしてしまった。
「え?それなんのこと?」
箸を持つ手を止めて母が恵美を見る。
恵美が私のほうをなぜかマリア様のような慈悲にみちた目をしているのを見て、頭の中に危険信号が点滅した。
「あ・・・」
と言いかけたが遅い。
「今日ね、夕方カナったら男の人に送ってもらってたのよね。私、見ちゃった」
ガシャンと音がし、そちらを見た私の目に映ったのは、父が今にも卒倒しそうな顔で湯のみを落としたところだった。
これはマズイ!
そんなことはお構いなしに、恵美は続ける。
「あの人って大学生?結構いい男だったよね。ゴミを捨てる時に裏口から見たんだけど、身長も高いし、優しそうだった。やるじゃん、カナ」