足音さえ消えてゆく
 冬休みまであと5日間。

 翌日も翌々日も、学校では優斗とコソコソ話し合いが続いた。恵美が行く日に合わせるために、小浜とも連絡を頻繁にとった。
 小浜が代表で飛行機の手配をしてくれたが、この時期、飛行機だけの空席はなく、「札幌・小樽3泊4日」という格安ツアーにて行くしかなかった。

「格安ツアーってさ、変な観光とかお土産物屋に強制的に連れて行かれるんじゃないの?」

「まー、仕方ねぇよ。んなもんさっさと済ませて、フリーのときにでも探しにいけばいいんだしさ」

 
 毎日のように小浜にも会った。

 そして、認めたくないが、私にはその時間がとてもうれしかった。

 けして恋ではない、と自分に言い聞かせる。新しい知人に興味があるだけ、だと。でも、それではなぜ胸がざわめくのだろう。なぜ、別れ際は苦しいのだろう。帰り道に、なぜ泣きたくなるのだろう。

 それを深く考えてはダメだ、と何度も言い聞かせた。

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