足音さえ消えてゆく
 私の困惑に気づいたのか、涼子は
「はは、つまらない話しちゃってごめんね。さぁて、明日から期末テストだから勉強しなきゃ」
と、まるで話を打ち切りたいかのようにあわてて教科書をとりだして眺めだした。


 その日、涼子は結局最後の「じゃあ、また」と言うまで教科書から目を離すことはなかった。

 おそらく小浜とケンカでもしたのだろう、と軽く考え、私も学校へと歩き出した。そして、教室につくころにはそんなことも忘れてしまっていた。


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