足音さえ消えてゆく
部活へ向かう優斗と、家の方向が違う菜穂とは校門で別れ、駅への道を歩いた。
急に心細くなったような気がして、急ぎ足になる。
雨が降り出しそうで降らない夕暮れ。いっそ、どしゃぶりになってしまえばいい。
駅につく頃には街灯もつきはじめ、夜が近いのが分かる。近くに立つサラリーマンの読むスポーツ新聞を横目で盗み見しながら、電車が来るのを待つ。
電車に乗り込むと、雨が近い天気独特の湿気を含んだ空気に包まれる。
何もする気になれず、ぼんやりと車内広告を眺める。
駅をいくつか過ぎたころ、
「カナちゃん、だよね?」
と、声をかけられた。
とっさに、
「あ、はい」
と答えて目を上げると、昨日も会った小浜幸広が立っていた。
急に心細くなったような気がして、急ぎ足になる。
雨が降り出しそうで降らない夕暮れ。いっそ、どしゃぶりになってしまえばいい。
駅につく頃には街灯もつきはじめ、夜が近いのが分かる。近くに立つサラリーマンの読むスポーツ新聞を横目で盗み見しながら、電車が来るのを待つ。
電車に乗り込むと、雨が近い天気独特の湿気を含んだ空気に包まれる。
何もする気になれず、ぼんやりと車内広告を眺める。
駅をいくつか過ぎたころ、
「カナちゃん、だよね?」
と、声をかけられた。
とっさに、
「あ、はい」
と答えて目を上げると、昨日も会った小浜幸広が立っていた。