足音さえ消えてゆく
「ま、いいや」
話をすすめるためにも、一旦ここは引き下がろう。

 ほっとした様子の小浜がまたコーヒーに手を伸ばそうとしたので、私はあわててそれを押しとどめた。

「あのね、私の話を全部聞いてからこれは飲んでね」

 また噴き出されちゃかなわない。

 咳払いをひとつして、私は話し出す。

「涼子さんね、二日前から学校行ってないらしいの。弟と同じクラスだから聞けた話なんだけど、どうやら家出しちゃったらしいのよね・・・。メールアドレスも変えちゃったみたいで連絡つかないの」

「なんだって!!」

 小浜が勢いよく立ち上がり、反動でコーヒーのコップが倒れた。そう、お約束どうり私の方へ向かって・・・。



< 97 / 258 >

この作品をシェア

pagetop