足音さえ消えてゆく
子犬は好きではない。
普段はやんちゃばかりしているのに、いたずらをして叱った時にはこの世の終わりかのような顔をしておびえる姿は、まるでこちらが虐待でもしているような気持ちになる。ましてや、震えていたり怖がりながらもかわいい目をしてくる彼らを、好きにはなれない。どちらかというと、自由気ままな猫のほうが好きだ。
今、雨の上がった夕方の町を歩く後ろをおどおどとついてくる小浜も、まるで叱られた子犬のように思える。
「あの・・・」
後ろから消え入りそうな声が聞こえる。
「なによ」
立ち止まらずに首を少しうしろに向ける。
「ほんとうに・・・」
「すみません、ならもう100回聞いた」
「・・・すみません」
「送らなくってもいいって。さほど染みも目立たないし」
「・・・いや、目立ちますよ」
彼は謝るつもりがあるのか、それとも単なる天然なのか・・・。一呼吸置いて、立ち止まって振り向く。
普段はやんちゃばかりしているのに、いたずらをして叱った時にはこの世の終わりかのような顔をしておびえる姿は、まるでこちらが虐待でもしているような気持ちになる。ましてや、震えていたり怖がりながらもかわいい目をしてくる彼らを、好きにはなれない。どちらかというと、自由気ままな猫のほうが好きだ。
今、雨の上がった夕方の町を歩く後ろをおどおどとついてくる小浜も、まるで叱られた子犬のように思える。
「あの・・・」
後ろから消え入りそうな声が聞こえる。
「なによ」
立ち止まらずに首を少しうしろに向ける。
「ほんとうに・・・」
「すみません、ならもう100回聞いた」
「・・・すみません」
「送らなくってもいいって。さほど染みも目立たないし」
「・・・いや、目立ちますよ」
彼は謝るつもりがあるのか、それとも単なる天然なのか・・・。一呼吸置いて、立ち止まって振り向く。