足音さえ消えてゆく
 すぐに小浜がうれしそうに横に並ぶ。

「でもさ、涼子さん本当にどこにいっちゃったんだろう」

「うん・・・。まさか家出したなんて思ってもいなかった」

「私はさ、てっきり小浜さんと付き合っているのかと思ってたから何かそのトラブルかな、って思ってたんだけど違うみたいだしね」

 とたんに小浜の顔がまた真っ赤になる。小浜はよほど涼子の事が好きなんだろう。涼子はどうだったのだろうか?先日の言い方では、「分からない」とは言っていたが、その真意は何なのだろう。

 単純な小浜の事だから、涼子も小浜の想いには気づいていた気がする。小浜の気持ちが重すぎて逃げ出したのか・・・。いや、そんな事で学校を休んでまで逃げ出したりはしないだろう。


 雨が上がったばかりなのに、空はオレンジに染まっている。やがて来る闇を、涼子はどこで迎えているのだろうか。

 
 家の前まで送ってもらい、私は小浜と連絡先を交換して別れた。
「コーヒーの染みをご両親に謝る」という小浜を帰すのには苦労したが・・・。


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