治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん



「じゃあ……、四日の呪いって」


「ただのはったりだ。あいつらが逃げないように言ったこと。第一、今の俺にそんな大きな魔術は使えない。

使える範囲の最大魔術ですらやろうものならば君は倒れてしまうし、それ以上の魔術は“君”が出せない。

俺は君によって“限定”されている。体力も、出せる魔術の数も。仮にも俺が千の魔術を使えたとしたら、現段階、五十程度のことしか出来ないんだ。

それだけ、君の体と、もとの俺の体というのはかけ離れているというのに……」


おえつをあげるように声を出して、彼はただ。


「本当にすまない。俺のおごりがあった。この程度ならば、大丈夫だろうと過信していたんだ……。

意識が千の知識を持とうとも、体が五十の知識しか利用出来ないならば、一の魔術でかなりの体力を浪費する。

今考えれば当たり前だと分かるのに、あの時の俺は……。すまない、君に迷惑、を」


謝り続けた人がいた。

自分の責任だと、私が疲れているのは自分のせいだと悔いる彼。


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