治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


なんと言葉をかけるべきか。


迷った。
迷ったのは、彼の様子からして罰――私からの責めを待っているようだったから。


「シブリールさんのせいではありませんよ」


出てきた言葉は、やはり彼の願望にそぐわない言葉だった。


戸惑ったような眼差しが向けられる。


責めてほしいと罰を求める目だが、今の私に彼を追い詰める真似は出来ない。


「あなたがああしなければ、私は今頃……想像に出来ないほどむごいことになっていました。

それがなくなって、代わりに出たのがこの程度の疲れ。そう考えたら、シブリールさんの罪など何もない。しょうがない、と言えることですよ」



それでも、と何か言う彼の服を引っ張る。


隣りにどうぞと、無理やり彼を座らせた。


< 101 / 411 >

この作品をシェア

pagetop