治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「寝ましょうよ。あなたが悔いる気持ちは残ったままかもしれませんが。これだけは覚えて下さい。
私は、あなたに感謝をしています。助けてくれてありがとうございました」
「ユリウス……」
言いながら、恥ずかしくなってきたので私は彼とは真逆の方を向いて横になった。
背中越しからは軽く笑ったような声。
ぱさりと毛布をかけられて。
「ユリウスはどうしてそんなに優しくしてくれるんだ……」
どこか寂しげな音を聞く。
顔は木々の闇に向けたまま、彼に聞かれたことを考えた。
優しい、のか。
自分でもよく分からない。
だって、彼を責めないのは言ったとおりに、私は彼に感謝をしているから。
毛布を肩までかけて、寒さをしのぐ中――