治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「ああ、これはとんだ失礼を。横顔がとてもお若く美しかったもので、ついお嬢さんと。
麗しきご婦人、少し聞きたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか」
そう言う彼を冷たい目で見る。
というか、引いた。
気持ち悪くて、うわぁと彼の在り方というのでさえ気持ち悪いの一言だ。
「実は警察署を探していまして、場所を教えて頂けると助かるのですが。申し訳ない、呼び止めてしまって。
可憐に歩くあなたを見てしまったら、困る山羊同然の私めには女神のように見えてしまい、つい声が。……どうか、私めに救いの手を差し伸べてはくれませんか」
「ま、まあ、そんな……。それぐらいのことならば。ここからすぐの場所にありますよ。ほら、あの角を曲がれば、オレンジ屋根の大きな建物がありますから、分かると思います。良ければ、そちらまで案内して差し上げますが」