治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
綺麗な黒いドレスはびりびりで、肉が陥没して、辺りには黒い髪の毛が散乱していた。
スクラップの人形さん。
でも優しい人形さん。
人形さんではなく、優しい優しい。
「お母さん、後は任せてください」
優しい優しいママは私が言ったら、糸が切れたように倒れた。
ママがいた場所には小さな女の子。
瞼が開けれないほど深く閉じた肉と肉の間から涙をこぼし続けている。
名前……。知っているはずだった。
「ありす、ちゃ、ん……。アリスちゃん」
呼んでも自分の泣き声で聞こえないのか彼女はこちらを向いてくれない。