治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
女王様のお城へ
(一)
日の光が目に痛かった。
寝ぼけ眼を開ければ、木で出来た茶色い天井。
あれ、と思って、そっか街の宿だとすぐに思い出す。
ただ昨日のことが曖昧だった。
何したかなー、と思いながら目を瞑る。
二度寝。最高。
ふざけたことをボケた頭で考えて横向きになる。
横向きになったのは、何だかこちらに気持ちが良いものがあったから。
ふわふわして温かい。
手で抱けば、ふわふわしたものが私の胸元でもぞもぞする。
「……………」
もぞもぞ……?
あー、やってしまったな。と思ったのは早い。
前にもあったのだ、こういうことが。
寝ぼけとは恐ろしい。
隣にいる変態に身を寄せてしまうとは。
ついで。
「人の体にベタベタと……!」
前と同様、頬を殴り飛ばそうと布団をひっぺがえしたわけだけど。