治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「……っ」
欠落の部分を思い出そうとして頭が痛む。
気持ちが悪かった。つい昨日のことがまったく思い出せないだなんて。
彼なら何か知っているだろうかと思うが、いないところを見ると現在私の中にいるらしい。
手を頭に置く。
思い出せない不安に恐怖も出てきそうになったが。
「お姉ちゃん……?」
呼ばれて、全てがどうでも良くなった。
アリスちゃんが無事だ。それ以外に必要なことはないと思う。
起き上がる彼女の頭を撫でた。
「ごめん、起こしちゃったね」
また寝ていいよ、と横にさせようとしたが――抱きつかれた。
「ユーリお姉ちゃんが起きるなら、アリスも起きるっ」
突如ときた小さな天使の扱いにしどろもどろとした。