治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「そうだ、アリス」
あることを思い出し、膝上のアリスを床に立たせた。
首を傾げるアリスに一言言っておく。
「アリス、お兄ちゃんにありがとうしようか」
その一言で、人間二人を驚かせてしまった。
兄妹のように同じような驚き方をする二人。
そんなにもおかしいことだろうかと、私とて驚いてしまう。
「アリスは、シブリールさんに助けてもらったんだよ。……私だとかっこよく言いたいんだけど、全然、アリスを助けた場面が欠落していて。
だったら、あの時アリスを助けてくれたのはシブリールさんに間違いない」
そうですよね、と件の彼に聞けば、まあ。と肯定された。
「だったら、助けてもらってありがとうって。怖いお兄ちゃんかも知れないけど、本当は優しいんだから」