治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
周りには、泉近くのためか白い花がいくつかあった。
花が泉の額縁みたいだ。
綺麗な風景は見ていて楽しいが。
「アリス、寄り道しないで行こう。暗いから危ないよ」
止まった案内人と手を繋ぐ。
今はラグナロク様の城へ行く道中だ。
少し急かすような感じで行ったわけだが。
「着いたよっ」
「え……」
繋いだ手を引っ張られる。前へ――泉がある前へ。
待つ足が出遅れた、進んだ先には泉なのだが。
「う、そ……」
液体に立てたという驚愕。
足踏みをすれば水が波紋を出すくせに、落ちない。
唖然としている内に、アリスが私の手を引っ張る。
泉の中心――いや、月が映る水面まで引っ張られた。
「ユリウス、移動の時は力を抜いた方がいい」
「ち、力って」