治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


笑って、やはり自分は頭がおかしいとラグナロクは。


「死ぬかもしれない状態であっても、夜に普通に眠るときと同じ気持ちでいてしまうな。

朝になれば目覚めると思ってしまう」


「実際には、そうなるんじゃないのか」


「さてな、やったことはないのだ。脳が死んでも生きていられるのか、を。体ならば治そうと思えば治ったが、“治そうと思う器官”が亡くなれば、一体なにが、余を“生かそうとする”のか。

生き返れば興味深い議題に出来そうだ。だが、生き返らないのならばちと寂しいかもな」


「どっちだ、まったく。なるかどうかも分からない興味を持ってどうする。少しでも安全な方を選びたいならば、簡単な方法があるだろうに。

呪い――というよりも、制約を解除すればいい。決着をつけろ、ラグナロク。あなたが負けたと認めれば、勝負は終わり、勝負前にした制約もしまいだ」


< 356 / 411 >

この作品をシェア

pagetop