治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「本当に頭がおかしいな、あなたは。まあ、世界の管理者となる存在ならば、周りと桁違いの考えを持つだろうし。自分でも興味深い対象になるのか。
もういい、好きにしろ。死んでもあなたからアフロディーテは貰える」
別に俺には構わないことだと、シブリールはラグナロクを通り過ぎた。
向かうのはユリウスがいる場所。
「冷たいなぁ。余を救おうとは思わぬか」
「俺とて、あなたが負けを認めない限り、制約がある。治せないこともないが、二週間はかかるだろう。
それだけの時間をあなたに使うのは遠慮したいし、彼女を寝かせておくのも忍びない。――せっかく、広い世界に出れたんだから」
「まあ、それもそうか。とどめをささなかっただけでも誉めるべきだろうな。優しくなったな、シブリール。余は嬉しいぞ」