治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「あー、みんなきっと気を使っているんだよ。後は若い同士で、みたいな感じで。村人総出で俺たちを二人っきりにさせてあげようと」
ちゃちゃをいれる勘違い男の足を踏む。
きっと何かあったんだと、その心配ばかりがある。
気にしすぎだよ、二人で楽しもう。とか言う人を無視して進めば、勝手についてくる。
気持ちがドクドクいっている。
心配が足に出て、森から村へと続く砂利道を走った。
村の農牧の牛の鳴き声が聞こえるほど近い距離で。
「あんれ、ユーリちゃん」
村の人発見。
元気そうで良かったと思いかけよったわけだが。
「走ってきたんかぁ、大丈夫け?」
「だみだー、砂利で転んじまうから」
息を荒げる私を見て、心配そうに見つめる村の人たち。
「なん、で……」
“たち”、だった。
村の人総出と言うか、若い男性がいないのはさておき、よくみる顔ぶれが森の中にいた。