治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「うるさいな、寝かせたままの方が良かったかえ?余とて、こんな継ぎ接ぎめいた体は見せたくはなかったが……まあ、安心しろ。今は徐々に体を繋げておる。

一時間程度で、見た目は普段と変わらない状態になろう」


安心しろと、それこそ平然と話すラグナロク様だが――私は気が気でない。


体が斜めにぱっくりと切られている光景。正直、見ていられず逃げたかったが。


「あ、て……手当て……い、今、治します……!」


震える唇でやっと言葉を出す。


魔術の詠唱ではないが、自分で出した声が己にそうしろと命令しているようで、行動に移すのは早かった。


手をかざす。
治るかどうかは知らない。死体に近い物体を――他人で治すのは初めてだ。



「別に放置して構わぬがなぁ。まあ、そなたにやってもらった方がずっと早く、完璧だろうな」


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